自己免疫によって起こる「1型糖尿病」

自己免疫によって起こる「1型糖尿病」

自己免疫による病気

「1型糖尿病」は、主に自己免疫の作用によって発症する病気です。体内のリンパ球が誤作動し、インスリンの生成に必要な細胞やすい臓の細胞を破壊してしまうのです。生活習慣病でも先天性の病気でもなく、遺伝により発病することも稀です。多くの場合は過去のウイルス感染がきっかけになっていますが、病気そのものは感染症ではないので周囲に感染することはありません。
1型糖尿病を発症すると体内でインスリンを作ることができなくなり、ブドウ糖(血糖)を細胞に取り込めず血管内部に溢れてしまいます。ブドウ糖は本来細胞のエネルギー源となるものですが、高血糖の状態が続くと血管の壁に留まり合併症の原因になります。そのため、1型糖尿病患者はすい臓・すい島移植手術や生涯に渡るインスリン自己注射などの治療を行わなければなりません。国内の糖尿病患者の多くを占める2型糖尿病とは違い、インスリンの継続補充が必須となります。ちなみに、国内の子どもの年間発症率は10万にあたり1.5~2.5人で、他国と比べると少ない傾向にありますが、小児期に限らずどの年代でも発症する可能性があり、原因不明の難病といわれています。適切な治療を進めていかなければ、心臓・腎臓・眼・神経などの合併症を引き起こし、命にかかわるほど危険な状態に陥る可能性があります。

1型糖尿病は3つに分類される

1型糖尿病は「急性発症型1型糖尿病」「緩徐進行型1型糖尿病」「劇症型1型糖尿病」の3つに分類されます。この中で最も頻度が高いのは急性発症型1型糖尿病です。緩徐進行型1型糖尿病は約3ヵ月~数年にかけてインスリンが作られなくなっていきます。発症時はある程度のインスリン分泌が可能なため、2型糖尿病と同じように食事・運動療法や状況に応じた薬物療法を行っていきます。高血糖症状が出てから急激に重篤化する可能性が高いのが劇症型1型糖尿病です。著しく血糖値が上がる一方で、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値は低いという特徴があります。

診断基準

初診時は血圧測定・尿検査・血液検査・胸部レントゲン・自覚症状の有無などから診断します。のどの渇き・頻尿・体重減少・倦怠感などの症状を訴えるケースが多く、「ただの風邪かと思ったら1型糖尿病だった」というケースも少なくありません。特に注目すべきは直接的な原因となる体内の血糖値です。健康な人の場合、およそ「70~140mg/dL」であるのに対し、1型糖尿病を発症した人は「300~600mg/dL」前後と非常に高い数値を示します。

糖尿病について深く知る

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糖尿病治療での看護師の役割

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